九州大学経済学部 経済史 I
9月30日 L01 経済史へのいざない
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1.経済史の学び方

(1)事実と解釈
 ・事実はひとつ⇔解釈はいっぱい
 ・時代が要求する解釈の発見=社会科学
 ・既習の歴史学=解釈の一側面
 ・時代の解釈とジェネレーション・ギャップ
   ・1973年(1歳)…高度経済成長の終了,第1次オイルショック
   ・1980年(8歳)…「省エネルギーの日」制定
   ・1989年(17歳)…ベルリンの壁崩壊
   ・1991年(19歳)…雲仙普賢岳で火砕流発生,ソビエト連邦崩壊
   ・1993年(21歳)…バブル経済の崩壊(景気の谷)
   ・1997年(25歳,君たち2歳)…拓銀・山一證券の経営破綻
   ・2008年(36歳,君たち13歳)…サブプライム・ローン問題とリーマン・ショック
   ・2011年(39歳,君たち16歳)…東日本大震災
 ・1972年度生まれの有名人
   ・スポーツ界
     ・相撲:貴乃花,魁皇
     ・野球:稲葉篤紀,村松有人,西口文也
     ・五輪:朝原宣治,奥野史子,高橋尚子
   ・芸能界
     ・歌手:中居正広,木村拓哉
     ・俳優:武田真治,谷原章介
     ・女優:常盤貴子,高岡早紀,松雪泰子
     ・海外:キャメロン・ディアス,ペ・ヨンジュン
     ・芸人:品川祐,ケンドーコバヤシ,はるな愛,マツコ・デラックス(実年齢)

(2)経済史の伝統的な解釈
 ・マルクスの発展段階論→時期区分の再検討
 ・西洋中心史観→ヨーロッパとアジアの相対化
 ・「国民国家」論,一国史観→経済圏,海域への注目

(3)近代日本の位置づけ
 ・「日本資本主義論争」 (1920-30年代)
   ・明治維新の性格:講座派 vs 労農派
 ・「近代化論」:徳川時代とヨーロッパ封建制の比較
 ・数量経済史による実証研究

(4)日本経済史における最近のトピックス
 ・「鎖国」と徳川経済の発展
 ・横浜開港と明治維新の位置づけ
 ・太平洋戦争をめぐる連続と断絶

―ハーフタイム―

2.日本経済史 オリエンテーション
【参考文献】
荒野泰典『近世日本と東アジア』東京大学出版会,1988年。
川勝平太『経済史入門』日本経済新聞社,2003年。
新保博『近代日本経済史』創文社,1995年。
杉山伸也『日本経済史 近世-現代』岩波書店,2012年。 
杉山伸也・リンダ・グローブ編『近代アジアの流通ネットワーク』創文社,1999年,序章。
浜下武志『近代中国の国際的契機』東京大学出版会,1990年。
フェルナン・ブローデル(浜名優美訳)『地中海』藤原書店,1999年。・
山本有造「明治維新期の財政と通貨」,梅村又次・山本有造編『開港と維新』(日本経済史3)岩波書店,1989年,所収。
和辻哲郎「鎖国」,『和辻哲郎全集』第15巻,岩波書店,1963年,所収。
「近世の初めに新しい科学が発展し始めて以来,欧米人は三百年の歳月を費やしてこの科学の精神を生活のすみずみにまで浸透させて行った。しかるに日本民族は,この発展が始まった途端に国を鎖じ,その後二百五十年の間,国家の権力をもってこの近世の精神の影響を遮断した。」