九州大学経済学部 経済史I
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出席カードの課題 |
・授業内容や形式に対する疑問・質問点を書きなさい。
・ヨーロッパ商人(ポルトガル・スペイン・VOC)がアジア市場に参入する際,障壁となった事柄は何かを述べなさい。
(どちらか1つで可) |
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1.アジア域内貿易と大航海時代
(1)アジア域内貿易
・アジア物産:綿織物(インド),香辛料(東南アジア),陶磁器・生糸・茶(中国),銀(日本)
・貿易圏:インド洋⇔南シナ海⇔東シナ海,モンスーン
・中継貿易港:マラッカ,マニラ,那覇
(2)東方貿易
・ヴェネツィア,ピサ,ジェノヴァ,のちフィレンツェ
・東→西:香辛料・生糸,西→東:毛織物
・関税の重層化
(3)二大宗教勢力の対立と国民国家の形成
・オスマン朝トルコの台頭→東ローマ帝国滅亡[1453]
・ポルトガル&スペイン:絶対王政の確立
→インド航路の「発見」へ
2.ヨーロッパのアジア市場参入
(1)ポルトガル
・マラッカ占領[1511]→胡椒・香辛料だけの貿易独占
・ポルトガル-インド西海岸間:王室の単独事業
→高コスト,低リターン,財政破綻の危険性
・アジア域内:公的・私的な個人貿易
→投機的,高リターン,アジア商人に依存(鉄砲伝来)
―ハーフタイム―
(2)スペイン
・メキシコ銀山の発見→墨銀の流入→「価格革命」
・マニラ建設[1571]→メキシコ-フィリピン航路の展開
・アントウェルペン:香辛料・毛織物の集積地
・ネーデルラントの相続→オランダは独立を宣言
→商人はアムステルダムへ移動
(3)オランダ東インド会社(VOC)
・設立[1602],6都市からの資本集積(英の12倍)
・アムステルダム:資金の57%を分担
・政府から要塞建設・総督任命・兵士雇用権を授与
・アジアへの進出:香辛料貿易
・バタヴィア(ジャカルタ)建設[1619]
・アンボイナ事件[1623]→アジア域内から英を駆逐
・マラッカ征服[1641]
・出資:有限責任制,10年据え置き,配当金20%程度
・経営:十七人会…重役会議
インド評議会(バタヴィア)…貿易,行政,法務
⇒既存のアジア域内貿易パターンのうえに成立
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【参考文献】 |
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フィリップ・カーティン(田村愛理・中堂幸政・山影進訳)『異文化間交易の世界史』NTT出版,2002年。 |
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杉山伸也『グローバル経済史入門』岩波書店,2014年。 |
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羽田正『東インド会社とアジアの海』(興亡の世界史15)講談社,2007年。 |
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浜下武志『近代中国の国際的契機』東京大学出版会,1990年。 |
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ジャン=ルイ・フランドラン,マッシモ・モンタナーリ編(宮原信,北代美和子監訳)『食の歴史』Ⅱ,藤原書店,2006年。 |
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