九州大学経済学部 経済史I
1月11日 |
L12 |
両大戦間期の重化学工業化と企業の資金調達 |
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出席カードの課題 |
・今回の授業内容や形式に対する疑問・質問点,または感想・批評を書きなさい。
・1920-30年代における企業の資金調達と金融機関の役割についてそれぞれの変化をまとめなさい。(どちらか1つで可) |
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1.日本の金本位制採用と外国資本の調達
(1)国際金本位制の確立
・本位貨幣:価値尺度機能を果たす貨幣
・多角的決済機構→イギリス:金本位制の採用 [1816]
→1870年代:他の欧米諸国も採用
(2)日本の金本位制採用と外資導入
・銀本位制[1885]:日本の輸出:有利,輸入:不利
・工業化への外資導入→金本位制へ移行[1897]
・海外の資金市場で社債を起債→正貨を獲得
・第1次資本輸入期:日露戦後期[1903-13]
・植民地系企業(満鉄・東洋拓殖会社)の社債中心
・第2次資本輸入期:1920年代
・日本の都市化→電力会社の社債中心
―ハーフタイム―
2.資本市場の発達と他人資本への依存
(1)間接金融の発達
・自己資本による企業金融:電力業(1910年代まで),
3大財閥(1920年代まで),3大紡績会社(全期間)
・自己資本不足:鉄道・海運,中小紡績,新興財閥
・重化学工業化→銀行・信託からの借入依存
(2)既成財閥における持株会社-子会社間の資本市場
・事業部門の株式会社化→事業計画の裁量権を付与
・子会社→本社:資金需要のため定期的に報告書作成
・本社→子会社:人事・予算を管理,資金調達の責任
・本社→同族(株主):配当の抑制,内部留保の増加
・戦時期:持株会社の株式会社化・株式公開
→外部市場からの資金調達,本社機能の「空洞化」
→GHQによる「財閥解体」[1945]の再検討 |
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【参考URL】 |
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三菱ホームページ委員会Webサイト「三菱の歴史」 |
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ニコンWebサイト「ニコンの歩み」 |
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日産自動車Webサイト「NISSAN HERITAGE」 |
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【参考文献】 |
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石井寛治「企業金融の展開」,佐々木聡・中林真幸編『組織と戦略の時代―1914~1937―』,ミネルヴァ書房,2010年,所収 |
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橘川武郎『日本電力業発展のダイナミズム』名古屋大学出版会,2004年。 |
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武田晴人「財閥の組織構造」,佐々木聡・中林真幸編『組織と戦略の時代―1914~1937―』,ミネルヴァ書房,2010年,所収 |
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宮本又郎・阿部武司・宇田川勝・沢井実・橘川武郎『日本経営史』新版,有斐閣,2007年。 |
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