九州大学全学共通科目 「文系コア」経済学(木1)
5月09日 L03 徳川日本の経済発展 ―データで読み解く17~19世紀―
1. 徳川農村の経済基盤

(1)農業の発展
 ・経済状況を繙く鍵=一次資料
   ・最良史料:長期時系列,欠年なし,豊富な情報量
 ・人口:爆発の17世紀⇔停滞の18世紀,反収の増加
 ・17世紀:「外延的拡大」
   ・小農経済の成立:合同家族から直系家族へ
   ・森林破壊と環境問題:刈敷・草木灰→はげ山
 ・18世紀:「内包的成長」
   ・技術と知識の向上:農具,金肥,農書
   ・年貢率の低下→可処分所得の増加
 ・ 「経済社会」=農民が経済合理的に行動する社会
   ・労働集約,農村への商品経済の浸透

(2)歴史人口学でみる東西日本の比較
 ・中央日本と東北日本
   ・18世紀の人口→中央:増加⇔東北:減少
   ・平均初婚年齢→中央:高年齢⇔東北:低年齢
   ・合計結婚出生率→中央:多産⇔東北:少産
 ・ ライフサイクルの比較
   ・中央日本:独身時代に出稼・奉公→結婚→出産
     ・村内の人口は確保→余剰人員は都市へ転出
   ・東北日本:早期結婚→出産→出稼・奉公
     ・18世紀:食糧確保→出産制限,性別選択
     ・19世紀:特産物生産→所得増加→人口増加
   ・西南日本:未解明→研究の余地あり

―ハーフタイム―

2.徳川時代の商業発展

(1)商業ネットワークの発展
 ・農村(生産)-都市(消費)→商品流通の必要性
   ・遠隔地交易→問屋制の隆盛
 ・米の換金→米価の重要性
   ・大坂:蔵屋敷,堂島米市場→各地の米価と相関
 ・大坂の銀遣い⇔江戸の金遣い
   ・幕府:度量衡の統一,貨幣鋳造権→三貨体制
   ・藩札:貨幣不足の解消,信用力

(2)幕末期の産業構造
 ・農林水産業:60%,鉱工業:10%
  ⇔商業・サービス業:30%
  →この比率をどう評価するかがポイント
【参考文献】
速水融・宮本又郎編『経済社会の成立』(日本経済史1)岩波書店,1988年。
新保博・斎藤修編『近代成長の胎動』(日本経済史2)岩波書店,1989年。
速水融『江戸農民の暮らしと人生』麗澤大学出版会,2002年。
鹿野嘉昭『藩札の経済学』東洋経済新報社,2011年。
浜野潔『歴史人口学で読む江戸日本』吉川弘文館,2011年。
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