九州大学全学共通科目 「文系コア」経済学(木1)
5月30日 L05 パックス・ブリタニカと日清・日露戦後経営:1890~1900年代
1.パックス・ブリタニカの時代

(1)19世紀後半の国際経済構造
 ・Pax Britannica:イギリス主導による国際秩序
 ・植民地の役割:垂直的分業関係
   ・一次産品の供給地⇔工業製品の市場
 ・世界的な運輸・通信ネットワーク
  →多角的貿易→国際的決済機構の必要性(HSBC:香港上海銀行

(2)国際金本位制の確立
 ・本位貨幣(正貨):価値尺度機能を果たす貨幣
 ・イギリス:国際収支の黒字→金本位制 [1816]
  →1870年代:欧米諸国も金本位制へ
 ・国際金本位制:通貨が一定重量の純金とリンク
  →自由な金の輸出入,国際収支の不均衡を調整

(3)近代日本の国際通貨政策
 ・新貨条例 [1871]:金本位制を基礎⇔1円貿易銀
 ・銀本位制 [1885]←銀相場の下落
  →日本にとって輸出:有利,輸入:不利
 ・日清戦争と下関条約 [1894-95]
   ・朝鮮独立の承認,台湾領有
   ・賠償金を英貨で支払い( 3億円≒3,300万ポンド)
    →80%弱:ロンドンに在外正貨の形で置く
 ・金本位制への移行 [1897]
   ・ポンドとリンク→外資導入と為替リスクの回避
 ・条約改正:日英通商航海条約の施行 [1899]
  →「不平等」条約の撤廃

―ハーフタイム―

2.「日露戦後経営」

(1)日露戦争とポーツマス条約[1904-05]
 ・政府外債を発行した戦費調達(表1)⇔賠償金なし

(2) 「第1次資本輸入期」
 ・工業化への原材料購入と設備投資>繊維品の輸出
  →貿易収支:赤字⇔資本収支:黒字
 ・外国資本の対日直接投資
  →電機・機械工業部門での技術提携(表2)
 ・国債発行の限界→外貨建て地方債・社債の発行
  →ロンドン金融市場で起債→正貨を調達(表3・表4)
 ・外債の累積:20億円→国際収支の危機
 ※重工業の必要性と「大きな政府」
   →貿易構造の赤字化
【参考文献】
鈴木俊夫「ロンドン金融市場における外国政府債の発行(1870-1913年)『中京商学論叢』第35巻第3・4合併号(1989年2月)。
中村隆英「マクロ経済と戦後経営」,西川俊作・山本有造編『産業化の時代』下(日本経済史5)岩波書店,1990年,所収。
玉置紀夫『日本金融史』有斐閣,1994年。
山本栄治『国際通貨システム』岩波書店,1997年。
杉山伸也,ジャネット・ハンター「日英経済関係史 1600-2000年」,同編『日英交流史4経済』東京大学出版会,2001年,所収。
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