九州大学全学共通科目 「文系コア」経済学(木1)
6月13日 L06 第一次世界大戦と日本経済:1910年代
1.第一次世界大戦と経済構造の転換

(1)第一次世界大戦と日本経済
 ・大戦前夜の日本:国際収支の危機
 ・大戦の勃発[1914]:「総力戦」
  ・欧州からの軍需・輸入途絶
  ・アジアからの民需
   →輸入代替化(鉄鋼業,化学工業)
   →国際収支の黒字(造船業,海運業)
   → 正貨保有の増加:債務国から債権国へ
 ・大戦景気とインフレーション
  ・第2次産業:高成長率,第1次産業:比重低下
   →農業国から工業国へ
  ・所得の二重構造:自営業⇔給与所得,職員⇔工員

(2) 第1次資本輸出期
 ・日本製綿製品の対中直接投資:在華紡
   ・中国:民族紡績業の発展,輸入税引上げ
   ・大戦景気→賃金上昇→輸出から現地生産に切替
 ・中国民族紡の経営を逼迫,日本の紡績業に合併

―ハーフタイム―

(3)反動恐慌[1920]
 ・米,生糸,綿製品の大暴落
  →個人資産家の破産→地方の銀行で取付騒動
 ・日本銀行の特別融通:2億5000万円
   ・政友会内閣(首相:原敬,蔵相:高橋是清)
   ・課題:膨張した日本経済の整理,金本位制の復帰

2.第一次世界大戦後の日本経済

(1)第2次資本輸入期と外国資本
 ・ゴム:ダンロップ,横浜ゴム(古河-グッドリッチ)
 ・自動車:フォード,GM→ノックダウン方式

(2)電力業の発展:民有民営
 ・日清戦後期:電灯会社,都市で小規模な火力発電
  →大型水力発電所,中長距離送電の完成
   ・電力外債の発行
  →地域的な電力会社間の市場競争:「電力戦」
   ・電気化学工業の成立:レーヨン,硫安
   ・電気機械工業の外資提携:技術導入⇔株式譲渡
   ・電鉄業の発展:福岡-久留米間[1924]
 ・改正電気事業法→供給区域独占の原則[1932]
【参考文献】
中村隆英・尾高煌之助「概説1914-37年」,同編『二重構造』(日本経済史6)岩波書店,1989年,所収。
橋本寿朗「巨大産業の興隆」,同上,所収。
中村隆英「景気変動と経済政策」,同上,所収。
西日本鉄道株式会社100年史編纂委員会『西日本鉄道百年史』西日本鉄道株式会社,2008年。
橘川武郎『日本電力業発展のダイナミズム』名古屋大学出版会,2004年。
スケジュールへ講義スライド(履修者専用ページ内)