九州大学全学共通科目 「文系コア」経済学(木1)
6月27日 L07 両大戦間期の政治・経済・社会:1920年代
1.二重構造と都市の時代

(1)農業生産の停滞と労働移動

 ・農業生産の減速
   ・実質成長率…1910年代:1.7%→20年代:1.1%
   ・人口増加率…1920年代→1.4%(乳児死亡率↓)
 ・農工間の労働生産性:1910年代:2倍→20年代:3倍

(2)都市化と生活水準の向上

 ・6大都市での社会資本整備←地方外債の発行
 ・中等・高等教育の充実→労働の質向上,職業婦人
 ・産業間の労働移動
   ・1910年代:製造業で労働需要の増加
   ・1920年代:運輸・通信・サービス業の発展
 ・個人消費支出の拡大⇔都市-農村間の所得格差

2.関東大震災と恐慌の連続

(1)金本位制復帰への模索

 ・ワシントン体制→日本の対外膨張抑制
   ・日英同盟→廃棄,対華21か条要求→一部廃棄
   ・海軍軍縮条約→軍需産業に打撃
 ・金本位制の再建→第一次大戦後の経済的課題
   ・問題:ポンドの過大評価,アメリカに金が偏在
   ・憲政会⇔政友会
   ・加藤友三郎内閣に絶好の機会→死去

―ハーフタイム―

(2)関東大震災と震災恐慌[1923.9]

 ・帝都復興の資材輸入→貿易赤字→在外正貨の減少
 ・震災手形:4億3000万円
  →財政膨張,円為替の下落
  ⇔日露戦時公債の借換→高利,在外正貨の補充

(3)若槻礼次郎内閣(憲政会)と金融恐慌[1927]

 ・原因:反動恐慌からの不十分な財界整理
 ・震災手形→決済進展せず→処理法案
   ・台湾銀行の未決済高→鈴木商店へ未決済融資
 ・片岡直温蔵相の「失言」→中小銀行で取付
 ・台湾銀行救済の緊急勅令⇔枢密院で否決
  →総辞職→大手銀行で取付
 ・田中義一内閣(政友会)成立→支払延期令
   ・張作霖爆殺事件[1928]→総辞職
 ・金融恐慌の意義:5大銀行への預金集中
   ・遊休資金の海外運用→金解禁への圧力
   ・銀行に対する大蔵省・日銀のモニタリング強化
【参考文献】
中村隆英・尾高煌之助「概説1914-37年」,同編『二重構造』(日本経済史6)岩波書店,1989年,所収。
新保博『近代日本経済史』創文社,1995年,第Ⅲ部第5章。
伊藤之雄『政党政治と天皇』(日本の歴史22),講談社,2002年。
季武嘉也編『大正社会と改造の潮流』(日本の時代史24),吉川弘文館,2004年。
岸田真「第1次世界大戦から昭和恐慌期まで」,浜野潔ほか『日本経済史1600-2000―歴史に読む現代―』慶應義塾大学出版会,2009年,所収。
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