九州大学全学共通科目 「文系コア」経済学(木1)
7月11日 L08 1930~40年代の日本経済:「日本型経済システム」の源流
1.「井上財政」と金解禁政策

(1)浜口雄幸内閣(民政党):1929~31年

 ・幣原外交:軍縮,ロンドン海軍軍縮会議
 ・井上財政:均衡財政,金本位制復帰
 ・金解禁政策:貿易収支の改善,円為替の上昇
  →緊縮財政,消費・輸入の抑制
 ※世界恐慌の発生[1929.10.24]

(2)金解禁の実施[1930.1.11]

 ・生糸輸出減少→農村を中心とした昭和恐慌
 ・満州事変,イギリス金本位制停止
  →財閥を中心とした「ドル買」
  →犬養毅内閣,金輸出再禁止[1932]

2.「高橋財政」と「第2次資本輸出期」

(1)「高橋財政」

 ・歳出:時局匡救事業
 ・歳入:赤字国債発行と低金利政策
 ・低為替放任政策
   ・輸入抑制→国内軍事産業の成長→不況脱出
   ・輸出拡大→貿易摩擦→高関税政策
 ※悪性インフレの懸念→軍事費の抑制→ニ・二六事件
 ※積極財政と軍拡政策→インフレ基調と軍国主義化

(2)「第2次資本輸出期」

 ・新興財閥と満州・朝鮮への資本輸出
   ・技術者による経営,化学工業に重点
   ・積極的な資金調達,公害(水俣病)
 ・外国為替管理法の制定→外資減少

―ハーフタイム―

3.戦時~戦争直後の日本経済

(1)「計画化」と戦時経済

 ・国際収支の赤字+財政赤字→経済の「計画化」
 ・第1次近衛文麿内閣[1937]
   ・物資需給の調整,石油の確保
 ・日中戦争の拡大と「日本型経済システム」の源流
   ・利潤追求→生産拡大,系列化
   ・終身雇用,年功賃金,企業別労働組合

(2)アメリカによる「民主化」と戦後改革

 ・「計画経済」の継続
   ・需要増加と供給不足→効率的配分と生産増加
 ・財閥解体:独占禁止法・集排法の効果に疑問
 ・労働改革:労働三法,賃金上昇→インフレ
 ・農地改革:地主・小作制の解体
【参考文献】
中村隆英・尾高煌之助「概説1914-37年」,同編『二重構造』(日本経済史6)岩波書店,1989年,所収。
中村隆英「概説1937-54年」,同編『「計画化」と「民主化」』(日本経済史7)岩波書店,1989年,所収。
橋本寿朗『戦後の日本経済』岩波新書(新赤版398),1995年。
季武嘉也編『大正社会と改造の潮流』(日本の時代史24),吉川弘文館,2004年。
永江雅和「戦時経済から民主化・復興まで」,浜野潔ほか『日本経済史1600-2000―歴史に読む現代―』慶應義塾大学出版会,2009年,所収。
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