2010年度 九州大学経済学部 「日本経済史」 中間定期試験
採点結果成績優秀者講評

採点結果
  履修者数 受験者数 平均値
Average
中央値
Median
最頻値
Mode
標準偏差
Standard
Deviation
変動係数
Coefficient
of
Variation
経済学部 3年  経済・経営学科 39 36 39.1 40 40 8.6 0.22
経済工学科 20 16 33.6 34 45 10.6 0.32
4年  経済・経営学科  63 43 34.4 35 45 10.5 0.30
経済工学科 11 6 28.3 25 25 12.5 0.44
21世紀プログラム 4 4 33.3 30 30 7.9 0.24
研究生 3 3 33.3 35 N/A 7.6 0.23
合計   140 108 35.4 35 45 10.1 0.28
  必修 選択 お救い
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7)
解答者数 108 2 42 60 4 14 18
平均点 16.1 21.0 17.6 17.8 22.5 4.4 4.9

50点満点。
"N/A"は,"Not Available"(入手不能,未入手)の略。
「変動係数」は,標準偏差を平均値で除した値のこと。これにより,平均値の大小に関わらず,「散らばりの度合」を比較できる。たとえば,「経済学部3年生」のうち,「経済・経営学科」,「経済工学科」の変動係数は,それぞれ"0.22","0.32"であるから,後者のほうが,個々の点数は平均値から遠く離れており,大きく散らばっていることを意味する。
「レポート執筆」は,履修者各員の自発的努力に委ねる担当者からは,その是非を個々に告知しない

成績優秀者
以下のみなさんは,50点満点を獲得した方たちです(救済問題の採点を含む)。
非常に優秀な成績だったので,とくに努力を賞したいと思います。大変よくがんばりました。
1EC07035E 1EC07103S 1EC08008K 1EC08022N 1EC08080R
1EC07037T 1EC07108E 1EC08011Y 1EC08070Y 1EC08176P
1EC07065S 1EC08006N 1EC08013R (以上13名)
以下のみなさんは,45点以上獲得した方たちです(救済問題の採点を含む)。
成績優秀につき,努力を賞したいと思います。よくがんばりました。
1EC07012W 1EC07109K 1EC08004G 1EC08091K 1EC08223S
1EC07028K 1EC07121G 1EC08059K 1EC08111N 1EC08262T
1EC07062M 1EC07133K 1EC08073N 1EC08137R 1NC08029K
1EC07106R 1EC07180G 1EC08084T 1EC08192P (以上19名)

中間定期試験 講評
(1)と(3)の区別が付いてない解答が多かった。(1)は,「景気変動の原因」を問われている。したがって,財・サービスの生産力・流通量の増減,さらに消費意欲の増減を含めて,答えなければならない。
(1)は,「17世紀末~1880年代」の期間を問われている。よって,全期間の景気変動と財政・金融政策を満遍なく答える必要がある。時間がなかったどうかはともかく,意図的に徳川時代,または明治時代のみを解答している人が多かった。
(4)で,「関税自主権を喪失しても,国内産業の発展につながった」という解答が顕著であった。従来的な解釈をすれば,関税自主権を喪失すると,国内産業が壊滅すると言われているにも関わらず,なぜ「発展につながった」と言えるのか,パラドクシカルに述べなければならない。
(4)で,「開国」と「開港」の区別が付けられなかった答案が少なからずあった。「どのように違うのか」と問われているので,それを解答する必要がある。
記入した文字が乱雑であったり,小さすぎるがゆえに,判読不能の答案も見られた。字を「きれいに」書けとは言わないが,採点を希望するのであれば,少なくとも「丁寧に」書いてほしい
(1)または(3)で,享保と元文の貨幣改鋳のメカニズムを簡略化しすぎている解答が目立った。「享保の改鋳でデフレ化した」,「元文の改鋳でリフレになった」と書かれていても,なぜそうなったのか,原因と仕組みを論述しないと,点数に結びつかない
綱吉のあとの6代将軍を「家綱」(正しくは家宣)と答えていたり,天保の改革の開始年を「1834年」(正しくは1841年)と答えている人が,一部の学科・学年を中心に,10人ほど存在した。何か,そのように述べられた参考書を探してきたのだろうか?非常に興味を覚えた。ちなみに,今回の試験では,6代将軍の名称を列挙しようが,天保の改革の年号を書こうが,問題の趣旨とはほとんど関係ない。
全ての問題を通して,事実の羅列に終始してしまい,事実の因果関係を説明した答案はあまり見られなかった。ここが,高校の日本史と大きく異なる点である。「センター試験で日本史を選択したから,中間試験は何とかなる」と思っている人に限って,実際には「何ともなっていない」。従来の歴史観に極めて引っ張られており,さまざまな歴史認識を解釈する答案を描けていない。
履修者専用ページにある講義スライドを試験勉強に活用できた人は,高得点に結びついている
この授業では出席をとっていないが,今回の中間試験の結果を見ると,ほぼ出席日数に比例した得点状況になっていると確信できる。若干の例外があるとすれば,毎回出席しているにも関わらず,直前の復習を怠ってしまったか,あるいは,あまり出席できなかったにも関わらず,直前に猛勉強をして,受講していたに等しい解答を作成できたかと思われる。
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