九州大学基幹教育科目 文系ディシプリン「経済史入門」(後期・水1)
10月01日 L01 オリエンテーション:経済史へのいざない
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1.経済史へのアプローチ

(1)事実と解釈
 ・事実はひとつ⇔解釈はいっぱい
 ・時代が要求する解釈の発見=社会科学
 ・既習の歴史学=解釈の一側面

(2)経済史の伝統的な解釈
 ・マルクスの発展段階論→時期区分の再検討
 ・西洋中心史観→ヨーロッパとアジアの相対化
 ・「国民国家」論,一国史観→経済圏,海域への注目

(3)「日本」という分析対象の捉え方:単一国家なのか?
 ・東日本-西日本:衣・食・住,言葉の相違と多様性
 ・中央-地方:マスコミ(テレビ,新聞)の発信
 ・都市-農村:所得格差,人口動態(出生率,移動)
  →National から local⇔Inter Regional⇔Global へ

―ハーフタイム―

2.「経済史入門」(後期・水1) オリエンテーション
【参考文献】
荒野泰典『近世日本と東アジア』東京大学出版会,1988年。
新保博『近代日本経済史』創文社,1995年。
中村尚史『地方からの産業革命』名古屋大学出版会,2010年,序章。
フェルナン・ブローデル(浜名優美訳)『地中海』藤原書店,1999年。
山本有造「明治維新期の財政と通貨」,梅村又次・山本有造編『開港と維新』(日本経済史3)岩波書店,1989年,所収。
和辻哲郎「鎖国」,『和辻哲郎全集』第15巻,岩波書店,1963年,所収。
「近世の初めに新しい科学が発展し始めて以来,欧米人は三百年の歳月を費やしてこの科学の精神を生活のすみずみにまで浸透させて行った。しかるに日本民族は,この発展が始まった途端に国を鎖じ,その後二百五十年の間,国家の権力をもってこの近世の精神の影響を遮断した。」(15~16頁)
「特集 ふるさと,お国ことば」,『YUCARI』第14号(2014年7月),38-39頁。