佐賀大学経済学部 日本経済史II
11月19日 L07 明治政府の産業政策
1.工部省と「殖産興業」政策

(1)「殖産興業」政策の評価

  明治政府の課題/国内経済成長⇔国際収支の均衡/日本の工業化に関する議論/上からの資本主義化

  /下からの資本主義化

(2)工部省政策

  ①旧幕府資産の官収:横須賀製鉄所・長崎造船所・佐渡金山

  ②官営工場の設立:西洋式近代産業の移植/工作分局(赤羽:機械,深川:セメント,品川:硝子)

   /富岡製糸場/工女→地方で技術指導

  ③交通・通信手段の近代化と外資排除:鉄道外債の発行/敷設権の回収⇔「開港場路線」

   /高島炭坑:佐賀藩とグラバーとの共同開発→日本坑法の制定:鉱山国有化,本国人主義

   /電信:東京-横浜間,長崎-上海間の敷設/郵便:官営・全国均一料金

  ④外国人技師の雇用:スコットランド人の役割/日本人技師の養成/工部大学校

(3)政府の役割の再評価

  経済のオーガナイザー/新しい技術導入/人材・資金のリスク負担

―ハーフタイム―

2.「大久保体制」と勧業政策

(1)岩倉遣外使節団

  「富国」開明派と「強兵」保守派/目的:条約改正→欧米諸国の視察/大久保利通の注目:イギリスの海運業

(2)内務省と民業振励政策

  工部省政策の問題点:貿易収支の悪化→正貨流出/正貨獲得政策=保護貿易の実施

  /輸出振興:在来産業の拡大(生糸)/輸入防遏:輸入品の国内代替化(綿製品)

  /内務省の創設/目的:民間産業の育成,地方の整備,海運の充実

  /愛知紡績所:2000錘精紡機,水力,国産原綿/輸入綿糸の普及→在来綿織物業への利用

  /道路の改修・建設→民費を充当

(3)海運政策

  目標:沿岸航路からの外資排除/三菱の海運業と政府の保護・育成/岩崎彌太郎/台湾出兵の軍事輸送

  /横浜-上海間に定期航路開設/第一命令書:助成金交付,汽船の無償払下げ/複式簿記の採用

  /福澤諭吉「帳合之法」/荷為替金融の開始/三菱為替店:倉庫・金融業/西南戦争の軍事輸送

  /高島炭鉱の購入→石炭業への進出
【参考文献】
梅村又次・山本有造「概説1860-85年」,同編『開港と維新』(日本経済史3)岩波書店,1989年,所収。
中村哲『明治維新』(集英社版日本の歴史16),集英社,1992年。
杉山伸也『明治維新とイギリス商人』岩波新書290,1993年。
小風秀雅『帝国主義下の日本海運』山川出版社,1995年。
杉山伸也・ジャネット=ハンター「日英経済関係史」,同編『日英交流史1600-2000』4経済,2001年,所収。
【参考Webサイト】
慶應義塾図書館デジタルギャラリー
「デジタルで読む福沢諭吉」
『帳合之法』の原本を閲覧できます。
三菱広報委員会 「三綱領のDNA」というサイトの中で,
岩崎家社長4代(彌太郎彌之助久彌小彌太)を紹介。
mitsubishi.com 「三菱の歴史」を掲載。
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