佐賀大学経済学部 日本経済史II
6月19日 L09 「企業勃興」と「日清戦後経営」
1.「企業勃興」期と近代経済成長の開始

(1)国際的な銀貨下落

  日本円の切下げ→輸出促進・輸入抑制→外貨蓄積

(2)企業設立ブーム

  大規模資本⇔リスクヘッジ/鉄道業/民営+政府の優遇措置・保護/日本鉄道の設立←十五銀行の出資

  /山陽鉄道・関西鉄道・九州鉄道の設立/官営:東海道本線全通/綿紡績業/民間企業による輸入代替化

  /大阪紡績会社の設立:大規模経営/10,500錘/蒸気機関の動力/中国棉花の使用/日本初の恐慌(1890年)

2.「日清戦後経営」

(1)日清戦争

  朝鮮支配をめぐる日清対立→戦費調達→内国債発行/下関条約:華夷秩序の崩壊/朝鮮の独立

  /台湾領有/賠償金を英貨で獲得⇒清は露仏・英独から借款

―ハーフタイム―

(2)「日清戦後経営」

  最優先の課題:軍備拡張→軍事費シェアの急増→酒税の増税,営業税・法人所得税の新設

  /産業政策/製鋼所の設立:八幡製鉄所/造船業と海運業への補助金政策/造船奨励法/航海奨励法

(3)金本位制と条約改正

  国際的な銀価低落→貨幣制度調査会/大蔵官僚:「外資輸入」⇔産業界:「商品輸出」/金準備

  /日清戦争賠償金→ポンド建の在外正貨/金本位制への移行/ポンドとリンク→外資導入・為替リスクの回避

  /日本興業銀行/政府債・社債→ロンドンで起債/日英通商航海条約/「税権」の一部回復→保護関税化

  /関税増収/「不平等」条約の撤廃/居留地貿易の終焉

(4)「日清戦後経営」期の経済史的意義

  財政・産業・貿易政策と資本調達方式の転換
【参考文献】
中村隆英「マクロ経済と戦後経営」,西川俊作・山本有造編『産業化の時代』下(日本経済史5)岩波書店,1990年,所収。
寺西重郎「金融の近代化と産業化」,同上,所収。
玉置紀夫『日本金融史』有斐閣,1994年,第3章。
杉山伸也・ジャネット=ハンター「日英経済関係史」,同編『日英交流史1600-2000』4経済,2001年,所収。
濱下武志「日清戦争と東アジア」,小風秀雅編『アジアの帝国国家』(日本の時代史23)吉川弘文館,2004年,所収。
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