佐賀大学経済学部 日本経済史II
1月21日 L10 「日露戦後経営」と日本の植民地政策
1.「日露戦後経営」

(1)20世紀初頭の東アジア情勢

  列強の中国分割→北清事変→北京議定書/日英同盟:戦費調達と英貨公債

  /日露戦争:日本の財政膨張⇔賠償金なし

(2)第1次資本輸入期

  貿易収支:赤字⇔資本収支:黒字/外貨建ての地方債・社債を発行→ロンドン金融市場で起債→正貨を調達

  /外国資本の対日直接投資/外債累積:20億円→国際収支の危機→第1次世界大戦:「大正新時代の天佑」

(3)財閥の形成

  定義:家族・同族,複数の産業部門,企業集団/三井:中上川彦次郎の改革と経営多角化

  /三菱:商法制定→合資会社と事業部制

(4)第2次企業勃興期

  銀行業:中小銀行の乱立→5大銀行への収束開始/綿紡績業:「7大紡」の成立/石炭業:九州から北海道へ

  /製銅業:別子(住友)・日立(久原)

(5)公害問題の発生

  古河と足尾銅山鉱毒事件:谷中村の水没/三井と神岡鉱山:銀から亜鉛へ→イタイイタイ病

―ハーフタイム―

2.帝国主義と日本の植民地政策

(1)帝国主義論

  資本主義国家の政治的・経済的侵略政策の段階/1870~80年代以前:自由貿易主義期→以降:帝国主義期

  /植民地:「公式」帝国/日本の「公式」:台湾・朝鮮/植民地以外の地域:「非公式」帝国

  /日本の 「非公式」→「公式」:関東州,満州

(2)日本の対植民地貿易

  輸出:綿製品・マッチ/1920年代以降:朝鮮・満州の輸出市場化/輸入:砂糖・植民地米・大豆・豆粕

  /1920年代以降:満州の輸入市場化

(3)台湾:台湾総督府の経済政策

  土地調査事業:台湾米・砂糖栽培→モノカルチュア化/台湾銀行:発券銀行/専売化:煙草,食塩,アヘン

(4)朝鮮:日韓併合と朝鮮総督府

  土地調査事業:朝鮮米の栽培/東洋拓殖会社:土地経営管理・電力・鉄道・鉱工業/日本人地主の増加

  /朝鮮人の日本移住問題

(5)満州:南満州鉄道株式会社

  鉄道業・炭鉱・製鉄・不動産業/関東軍:満鉄の防衛隊→独立化/資本金:2億円→ロンドンで社債発行
【参考文献】
鈴木俊夫「ロンドン金融市場における外国政府債の発行(1870-1913年)『中京商学論叢』第35巻第3・4合併号(1989年2月)。
中村隆英「マクロ経済と戦後経営」,西川俊作・山本有造編『産業化の時代』下(日本経済史5)岩波書店,1990年,所収。
P.J.ケイン,A.G.ホプキンズ(竹内幸雄,秋田茂訳)『ジェントルマン資本主義の帝国』Ⅰ,名古屋大学出版会,1997年。
佐々木隆『明治人の力量』(日本の歴史21)講談社,2002年,第5~6章。
小風秀雅「アジアの帝国国家」,小風秀雅編『アジアの帝国国家』(日本の時代史23)吉川弘文館,2004年,所収。
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