最終課題の目的は、
「幕末・維新期の江戸・東京における町村別の人口と施設の分布を空間的に把握するとともに、
新しく施設を立地させるための最適条件を導くこと」です。

具体的には、上図の挙げた3点となります。

まず、19世紀中頃における江戸・東京を行政界で区分したベクター・データ型の地図を制作することです。
これまで、同様のコンセプトを持つラスター・データ型の地図に、
『江戸・東京重ね地図』(エーピーピーカンパニー、2001年)がありますが、データ量が多く、動作環境に大きく依存していました。

第2に、御府内の戸口の情報(本籍・寄留戸数、男女別人口など)、および人宿(口入屋)
大名屋敷に関する情報(所在地、大名の実禄、屋敷の坪数など)を求め、位置情報であるベクター地図に統合します。

第3に、人宿と大名屋敷の分布、および寄留戸数を比較しながら、新たに人宿を設置させるとしたら、どこがいいのかを検討します。
歴史にifは禁物ですが、自分が人宿仲間の組合員になったつもりで、19世紀版のエリアマーケティングを試みてみます。

用語解説
ベクター・データ 点(ポイント)、線(ライン)、面(ポリゴン)の3つの図形で表された地図データ。
トポロジー的解析が容易で、正確な図形を描ける反面、データ構造が複雑。
ラスター・データ メッシュやグリッドを単位とする地図で、1つの格子の中に属性情報を格納する。
データ構造が単純な反面、情報量が多くなってしまうため、
ピクセルサイズを大きくすると、現実世界を投影できない可能性を残す。
人宿(口入屋) 端的に言えば、都市の「就職斡旋施設」。
地方から都市への流入者を、雇用者へ紹介し、斡旋する業者。

【参考文献】
 ・南和男『江戸の社会構造』塙書房、1969年。
 ・斎藤修『江戸と大阪』NTT出版、2002年。
仲間 共同利益を増進するための、商工業者の同業組合のこと。
江戸の人宿は、幕府の指導によって仲間組合が結成されていた。
本課題で使用する人宿のデータは、その組合員数を示す。

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